富士山の麓、北口本宮冨士浅間神社にて奉納演武
平成二十九年九月三十日、本年の奉納演武は、富士山の麓、富士講の聖地として栄えた富士吉田にある、
北口本宮冨士浅間神社にて執り行った。
この神社は日本三大奇祭として知られる「吉田の火祭り」で有名である。
また木花咲耶姫を祀る本殿ほか、地主神としての諏訪神社や、武田信玄が川中島合戦の戦勝を祈願した東宮本殿も祀られている。
日本武徳院にとっては、去年の諏訪大社での奉納演武からの繋がりや、美しい女神と富士山、そして信玄が戦勝祈願した武張った側面など、奉納演武をさせていただくのに打って付けの神社であった。
本殿での正式参拝では、日本武徳院のための祝詞を奏上いただき、身の引き締まる思いと共に、武道の正道を歩む決意を新たにした。
玉串奉納をして、お祓いを受けたのち、奉納演武をする場所に移り、その場所もお祓いされ、清められるのだが、その場所はなんと「高天原」と名付けられている。
高天原と言えば天孫降臨の地、樹齢千年の木々たちに囲まれた同名の地で奉納演武をするのは、今を生きる私たちと日本の神々との繋がりや、三種の神器のひとつである「剣」と、我々が腰にする刀との結びつきなど、連綿と続く日本の歴史を実感する大変貴重な機会であった。
長い歴史の流れを線としてとらえると、今を生きる私たちはその先端の結節点であり、その線と点の繋がりを心に強く感じることが奉納演武の大きな意義でもある。
今年の奉納演武は女神と富士山と信玄のもと、そうした感慨を大いに抱けた一日であった。
末筆ではありますが、快く奉納を受けてくださった北口本宮冨士浅間神社の皆様に心よりの感謝の気持ちを申し上げます。