「心・技・体〜100パーセントの自分を引き出せ!」

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令和五年四月十日、滋賀県長浜市の長浜青年会議所にて「心技体〜100パーセントの自分を引き出せ!」と題して講演をおこなった。

これは月刊誌「致知」の記事を読んでの依頼だったので、ご縁の広がりに感謝します。

内容を要略すると、心=こころ、技=技術、体=身体の動かし方は、それぞれ相関関係にある。

技を身に付けるには、身体の動かし方を知らねばならない、心身ともに健全でなければ十分な技を発動できないなど、互いに補い合って不可分である。

特に技に関しては、我が師は「邪道的な真剣斬りは禁止」とおっしゃっていた。

食べ物や飛んでくるボールなどを斬ったり、タタミを斬る事だけに執着するような小手先技は武道の本質から逸脱する。

斬ることは手段であって、目的ではない。

武道家の目的は「道」を歩むことであり、それによって悟ることだ。

心技体が整わなければ「道」にならず、「道」なきものは何年やろうが、小手先技が上達しようが、真理から大きくはずれているので、塵芥のたぐいを出ることはない。

このことはビジネス、商人道においても同じだ。

利益を得ることは手段であって、目的ではない。

自分だけ、家族だけ、会社だけ儲かれば、後は知らぬという態度は、これも人間の本質から逸脱するので、大きな意味での成功はない。

経済の語源は「経世済民」、つまり世を治め、民を救うことである。

ここに経済の本質がある。

現代を生きる我々は、こうした本質的なことを忘れすぎていないか。

その原因のひとつとして、日本人の国家観の喪失があげられる。

GHQの占領政策や、左翼的教育によって、日本を否定することになれ、それに疑問を感じない人間が多いことが嘆かわしい。

若い人たちは、そのおかしさに気づき、日本の歴史や文化の価値を再発見して、自らに自信を持つことが大切だと思う。

日本刀には千年の歴史があり、武士道の潔さには世界が憧れる。

その憧れとは、畏怖と尊崇であり、日本刀の持つ、武器でありながら美しいという価値観そのものなのだ。

では、武士が気高く、美しくあるために、どんな修行をしていたか。

現代を生きる我々でも、簡単に取り入れられるものとしては、「呼吸法」がある。

丹田呼吸で深く息を吐き出し、体内に氣をめぐらせる。

氣がめぐれば、細胞も活性化して元気になり、体内に眠っていた能力を十分に引き出すことができる。

そもそも自分の中には、果てしないエネルギーがあるのに、それを数パーセントしか使えていないのが、我々凡夫の平均値だろう。

であるならば、丹田呼吸で眠っていた能力を使うことができれば、以前の自分とは大きくパフォーマンスが違うはずだ。

息をするとは、生きること、そこに目をむけ、意識を集中して数分間、丹田呼吸で鍛練すれば、必ず能力は開花する。

その開花した能力と、正しい国家観をもって、商人道に励んでもらいたい。

それが国を変え、街を変え、社会を良き方向に導くことができると信じている。

そして最後に、参加者全員で丹田呼吸を実践して終わった。

演武のない講演は、初の体験であったが、自分にとっても勉強になり、大変有意義だった。

今後もこのような活動を続けていきたいと思う。

末筆ではありますが、この機会を与えてくれた長浜青年会議所の皆さんに感謝します。

日本武徳院 殺活自在流剣法

師範・剣士 黒澤龍雲

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